本の紹介を受けて読んでみました。メンタリティの面ではスタートアップの経営者にとって参考になると思います。
第2章 最高の人材がいなければ、最高のビジョンに意味はない。で印象にのこった箇所のまとめです。
時間があるときに別の章もメモしたいと思います。

目次

何よりも大切で絶対に失敗してはならないこと

何よりも大切で絶対に失敗してはならないことは「最初に人を選ぶ原則」(最初に誰をバスに乗せるかを決め、それから目的地を決める)である。

あらゆる事業活動の中で正しい人材をバスに乗せること以上に重要なものはない。

特定の事業アイデアは失敗に終わる可能性が高い。今ある事業アイデアにしか適性のない人材ばかり集めると、事業アイデアが失敗し、別の事業アイデアに取り組もうとしたときにどう対処するのか。

もっとも重要な指標

バス(企業)の重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合が最も重要な指標である。

もし、その割合が90%未満であるならば、会社の最重要課題が判明したことになる。

常に重要ポストの90%がふさわしい人材で埋まっているように努力しなければならない。

重要ポストとは

以下の3つのうち、いずれか一つを満たしていれば重要ポストといえる。

  1. 人材にかかわる重要な意思決定をする権限がある。
  2. 職務での失敗は、会社全体の重大なリスクあるいは大惨事を引き起こす可能性がある。
  3. 職務での成功は、会社の成功に極めて大きな影響を与える可能性がある。

重要ポストに就く人材の育成から交代に転換するタイミング

重要ポストに就く人材の育成から交代に転換する境界線を見極めるために参考となる7つの質問。
ただし、この質問を使えば必ず正解が出るというわけではなく、懸念の該当数で判断するものではない。

  1. この人物を重要ポストにとどめているために、他の人材が会社を去り始めていないか。
    優秀な人材は優秀な人材と働きたいと思う。彼らは重要ポストにいる人材の凡庸な仕事ぶりがいつまでも許容されていると感じると、退社することで意思表示をするかもしれない。さらにまずいのは、高い成果をあげ、会社のコアバリューに反する行動をとる人を許容することである。重要ポストにパフォーマンスの悪い人や企業のコアバリューを無視する人をとどめるほど、優れた文化を棄損することはない。
  2. 価値観の問題か、意思の問題か、あるいは能力の問題か。
    企業のコアバリューに反する行動をとっている場合、優れたリーダーは交代させる。企業のコアバリューを支持し、自分の職務に必要な能力を身に着けようとしている不屈の意思がある者なら、辛抱強く待ってもよい。意思の問題が最も判断が難しい。意思が欠如しているのか、意思に火をともすことができていないのか。
  3. 「窓」と「鏡」をどう使うか。
    物事がうまくいっているときには窓を指し、自分以外の要因のおかげだと考える。一方、物事がうまくいかなかったときには、挫折や失敗を状況や周囲のせいにしない。鏡を指し、「これは自分の責任だ」という。
  4. 仕事を「業務」とみるか「責任」とみるか。
    重要ポストに就くふさわしい人材は、自分が与えられているのは「業務」ではなく「責任」と理解している。ふさわしい人材は広範な責任を全うできなかった時に、「業務は済ませた」という言い訳をしない。
  5. ここ1年で、この人物に対する信頼は高まったか、下がったか。
    人の信頼は成長や成果によって上下する。その人材に仕事を任せてと言われたとき、あなたの安心感は高まるだろうか、それともフォローアップしなければという気持ちが高まるだろうか。
  6. バスの問題なのか、座席の問題なのか。
    バスにふさわしい人材であるものの、間違った座席に座らせていることもある。あるいは、座席に求められる任務が、そこに座っている人材の能力を超えてしまうこともある。
  7. この人物が退社したら、あなたはどう感じるか。
    内心ほっとするのであれば、既にバスにふさわしくない人物だという結論は出ている。

境界線に達したとき

厳格であれ、非情になるな。と自分自身に言い聞かせる。

「厳格さ」とは、自分に正直になり、重要ポストの誰かを交代させる必要性と正面から向き合うこと。

厳格な意思決定をすることと、その変更を非情なやり方で実施することはイコールではない。

厳格でありつつ、非情にならない為には、勇気と思いやりを併せ持つことが必要。

「勇気」とは、当たり障りのない理由を考えるのではなく、交代の理由を直接はっきりと伝えること、そのつらい役目を他の人に押し付けないことである。

思いやりは、声の調子や相手への経緯に表れる。その人の来年以降の誕生日に、わだかまりなくお祝いの電話をかけられるような方法で交代を伝えられるだろうか。

社員に成長してほしければ、まず自分が成長する

自分のユニット、組織、企業、目的の実現に求められるリーダーに成長するために、あらゆる努力をする覚悟はあるか。

企業規模が2倍、5倍、10倍に増えるのに合わせて、リーダーシップ能力を2倍、5倍、10倍に高めていく意思はあるか。

自分のリーダーシップをVersion1.0から2.0、3.0へ成熟させていく意思はあるか。

自分のキャリアではなく、部隊に集中し、部下を大切にせよ

真に偉大な組織は例外なく、優れたリーダーの率いるユニット(部隊)で構成されている。偉大な企業を作りたいのであれば、担当チームをまとめ上げ、野心的目標に挑んでくれるユニットリーダーを大勢育成しなければならない。時代を超える偉大な企業を目指すのであれば、優れたユニットリーダーを輩出する仕組みづくりに投資しなければならない。

誰ならば社員はついていくのか。誰ならば信じるのか。誰の為ならこれまでの2倍頑張ろうと思うのか。これまで確固たる実績を上げてきたのは誰か。キャリアの各段階で最高の成果を上げてきたのはだれか。

史上最高のCEOの多くは自らの率いるミニバスを傑出した成果へと導こうとした。企業のコアバリューを実践し、部下を大切にしながら、任されたユニットで成果を出すことに集中した。ユニットリーダーが部下を信じたから、部下もユニットリーダーを信じた。ユニットリーダーが私利私欲を優先しないので、部下もユニットリーダーについていった。

金銭的インセンティブが必要なのは採用が間違っているから

お金で間違った人材を正しい人材に変えることはできない。金銭的インセンティブが無ければ最高の成果が上げられない人には、偉大な仕事を成し遂げるのに必要な、強烈な内発的意欲や動機付けが欠けている。

軍の精鋭部隊、教育機関、プロスポーツチーム、病院等、社会的事業に取り組む団体において素晴らしいリーダーシップやパフォーマンスを見てきたが、金銭的インセンティブは存在しないことが多かった。

例えば、とあるクリニックでは、「患者にとって最善のことをする」という同じ目的を持つ優秀な医師と共に働きたいと願う優秀な医者を集めることで、世界で最も尊敬される医療機関の一つになった。医療従事者はなぜ、この病院を選んだのかと尋ねると、「この分野で最高の人材と、最高の仕事をしたかったから」という回答を常に得た。

誤ったインセンティブ・システム

経済学では、人は確かにインセンティブに反応することを明確に示している。

だからこそ、「誤ったインセンティブは有害だけではなく、極めて危険」といえる。誤ったインセンティブ・システムは社員に謝った行動を促し、時には企業を危機に陥れることもある。(コアバリューに反するインセンティブ設計による不正の横行など)

不適切なインセンティブがあり、バスの主要な座席に不適切な人材が座っていると、どんな会社でも衰退の悪循環に陥るリスクがある。

悪循環はコアバリューに反する行動をとり、文化を棄損する誤った人材をバスにのせてしまうところから始まる。こうした人材の一部が権限を持つと、コアバリューに反するインセンティブを設計するようになる。それは、誤った人々の行動を助長し、正しい人々は会社に失望するようになる。

誤った人々が文化を支配するようになり、正しい人々にとっては徐々に居心地が悪くなる結果、正しい人々はどんどんバスを降りていき、誤った人の割合が、臨界点に達する。そうして、文化が破壊されている。

インセンティブ制度がうまく機能するのは、会社のコアバリューと合致し、会社のコアバリューを支持する意欲的で自律的な人材を引き寄せ、つなぎとめるという基本的機能を果たす時だけであり、誤った人々の「意欲」を高めるものにしてはいけない。

結局は、「最初に人を選ぶ」という原則に行きつき、正しい人をバスに乗せ、誤った人をバスから降ろし、正しい人々を重要な座席に座らせなければならない。正しい人材にはその分野の基準に照らして十分な報酬を払うべきである。

また、報酬制度は公平だと感じられるものでなければならない。偉大な企業を作るのに貢献している社員と、会社の利益をもっと分け合うべきだろうかと悩んでいるのであれば、「与えたい気持ちにフタをするな」。(人にお金、時間、知識経験等を奉仕すればするほど、自分に返ってきて、自分のエネルギーが益々高まる)

素晴らしい人間関係を見分ける方法

2人に「この関係でどちらの方が得をしているのか」と尋ね、両方が「自分」と答えるかどうか。である。つまり、両方が何かを「得る」ためではなく、「与える」ために、その関係に力を注ぐときだけにうまくいく、としている。

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